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主な結論
Argos Index®は上昇を続け、11.3x EBITDAに到達
Argos Index®は、記録を更新して史上最高の11.3x EBITDAに到達した。
当四半期のこの動きは、ミッドマーケットのハイエンド(エクイティが1億5000万~5億ユーロ)および、マルチプルが新記録を更新した投資ファンドによって推進されている。
ワクチン接種の進捗や長期利率が低水準を維持していること、株式市場の堅調な上昇が、ユーロ圏の成長回復の展望に拍車をかけ、企業価値評価にプラスの影響を及ぼした。
2020年下半期と同様、この高いマルチプルには標本の構成も反映されている。前四半期よりも割合は下がっているが、2021年第1四半期のArgos Index® にて参照された取引のほぼ50%が、ヘルスケア・セクターおよびテクノロジー・セクターにおけるものとなっている。
Argos Index®ミッドマーケット
EV/EBITDA倍率中央値の6カ月移動平均値
出所: Argos Index©ミッドマーケット / Epsilon Research
投資ファンドによる買収価格のマルチプルが著しく上昇
投資ファンドによる買収価格のマルチプルが大幅な上昇を継続し、2004年にArgos Index®が開始して以来最高の12.7x EBITDAに到達した。
以下の3つの要因がマルチプルの上昇を後押している。(i) ストラテジックバイヤーによる競争が激しいこと、(ii)プライベートエクイティ投資が着実な伸びを続けていること(その背景には高水準のドライパウダー)、(iii)買収のための債務のコストが低いこと(中央銀行の政策に関連)。
2021年第1四半期の投資ファンドによる買収のマルチプルは、ストラテジックバイヤーのマルチプルよりも均一であり、全産業においてマルチプルが上昇していると推測される。ストラテジックバイヤーの相対標準偏差が40%であるのに対し、投資ファンドの相対標準偏差は25%である。買収した企業のプロフィールも投資ファンドの方が一様であり、危機の影響が比較的少ない質の高い企業となっている。標本の中でマルチプルが最も低い5件(<7.5x EBITDA)はすべて、ストラテジックバイヤーによる買収案件であった。
企業価値 / 実績EBITDA
出所:Argos Index®ミッドマーケット / Epsilon Research
マルチプルが15x EBITDA を上回る取引の割合は約16%で高水準を維持
Argos Index™の標本内の15x EBITDA を上回る取引の割合(%)
出所: Argos Index©ミッドマーケット / Epsilon Research
株式市場の堅調な上昇に支えられ、上場企業がミッドマーケットで活発な動きを継続
上場大企業は依然としてミッドマーケットで活発な動きを見せており、2020年の下半期と同様に、2021年第1四半期もストラテジックバイヤーのほぼ75%を占めている。これらの上場企業には、株式市場の継続的な上昇1と、企業自身のマルチプルが当四半期に10.1x EBITDA2の高水準を維持していることがプラスに働いている。
1 EURO STOXX® TMI指数は、2021年第1四半期に9.5%上昇、前年比では50%以上上昇
2 ユーロ圏ミッドマーケット上場企業のEV/TLM EBITDA 倍率は 10.1 (出所:smallcaps.infrontanalytics.com)
ミッドマーケットの上場企業と非上場企業のマルチプル(ストラテジックバイヤーによる買収価格)の比較
出所:Mid-market Argos Index® / Epsilon Research / InFront Analytics
ミッドマーケットのM&A活動は、取引額が著しく増加したが取引件数は減少
2021年第1四半期は、ミッドマーケットのM&A活動の(報告された)取引額が急増し、前四半期比で18%増、2020年第1四半期と比較して43%増となっている。
M&A活動は勢いを取り戻しつつあるが、当四半期も引き続き、大規模な取引および新型コロナ危機からの影響が最も少なかったセクターに集中が見られた。
ユーロ圏ミッドマーケット(1500万~5億ユーロ)取引件数と取引金額
出所: Epsilon Research / Market IQ
2020年半ば以降、取引額の増加と取引件数の減少の間に強いコントラストが生じている。それに伴い、平均取引規模は2021年第1四半期に過去最高の1億3800万ユーロまで上昇している。
中小企業買収に関し、当四半期はベネルクスがドイツを抜いてユーロ圏で最も活発な地域に
ミッドキャップのM&A市場は、新型コロナ危機による混乱が欧州南部よりも少なかった北部欧州諸国で回復が進んだ。
注:Argos Wityuが活動の対象としている国(ドイツ、フランス、ベネルクス、イタリア)は、ユーロ圏の取引の65%を占めた。
ユーロ圏ミッドマーケット取引
取引件数の国別内訳の推移
出所:Epsilon Research / Market IQ